メコン川上流域ほか21: メーサイ散策その2 |
1月22日、メーサイ市街から第2メーサイ橋を目指して1041号線を歩いている(写真)。12時半ごろ、左手の奥に国境ゲートの建物らしき構築物が見える。やっと着いたと思い、元気が出る。数分後、1041号線と123号線の交差点に到着(写真)。のちほど地図で確かめると、123号線はメーチャンからメーサイへの途中で1号線から東へそれ、第2メーサイ橋へ向かうバイパス道路だ。
交差点から1041号線を直進するとゴールデントライアングルまで47kmという表示がある。メコン川沿いに近いルートを走る1041号線は、比較的直線距離で突っ切る1290号線と比べ、ゴールデントライアングルまでの距離が1.5倍ほどある。
123号線を北方向へ左折すると、第2メーサイ友好橋へのゲートが見える(写真)。この前後は片側3車線と立派だ。ゲートまで200mほど歩くが、車両の往来はほとんどなく、とても静か。ゲートに向かって左手には、魚獲りができる池があり、ミャンマー人と思われる人達が、原始的な方法で漁をしている(写真)。タイの税関事務所がすぐ背後にあるが、タイ当局のお咎めはまったくなさそう。
国境ゲートに接近すると、ゲートには「Maesai Customs House」と刻んでいる。係官が2人詰めていて、これ以上は中へ進めない。ここから300~400m先にイミグレ施設があるようだ(写真)。20分ほどゲート近くで観察している間に、目撃できたのはタイからミャンマー方向へはトラックもしくはダンプカーが3~4台、バンが5台、乗用車が2~3台、バイクが1台というところだった(写真)。一方、ミャンマーからタイ方向へはトラック2台だけだった。タイ側の「出超」という印象だ。
1041号線をメーサイの市街方向へ引き返すと、しばらくして右手に、丸太の積み込み場がある。無造作に積み上げられた丸太をクレーン車が1本ずつ大型トラックへ移していく(写真)。先日見た第2チェンセン港の風景に似ている。推測だが、第2メーサイ橋経由でミャンマーから運ばれてきた丸太がこうしたスペースで荷下ろしされ、タイのトラックがピックアップしてチェンセン港へ運搬し、そこから中国籍船へ移されて中国へ輸出されているのではないだろうか。実際、丸太を積み込んだ大型トラックが、1041号線をチェンセン方向へ走り去るのを見た(写真)。
13時過ぎ、右手に、「90 Hip House」という看板の欧風のレストランを見つけたので、そこでランチにする(写真)。しかし、英語はほとんど通じず、表の写真つきの看板を指して、豚肉入りスープ麺と、エスプレッソコーヒーを注文する。合計で70バーツと安かった。スープ麺もコーヒーもうまかった。
レストランを出て、再び1041号線を西へ歩く。先ほど川沿いの農道から出て来た箇所にメーサイ市街へ入るアーチがあり、来たときと違う道を歩きたいので、アーチをくぐってそのまま1041号線を西へ歩く。途中で英語教室と思われる事業所、日本ブランドの各種オートバイの販売所、Kidstuffという店名の子供服店など、中所得層以上の世帯向けの店舗を見かけた(写真)。
帰りは思ったより早くメーサイ市街に着いた。あとで地図で確認すると、帰りの1041号線→1号線というルートが第2メーサイ橋への最短距離で3kmほどだ。行きは遠回りした格好で4kmほど歩いたようだ。朝から合計10km以上歩いたのでいい運動になった。
14時すぎから、第1メーサイ橋のふもとにある食堂の2階で、橋を真横から50mほどの距離に見られるテーブルに陣取り(写真)、2時間ほど橋を観察する。歩行者、リヤカー、オートバイ、トクトク、バン、小型トラックと、この橋の上の流れ途絶えることがなく、さきほど見た第2メーサイ橋と比べて、飽きることなく眺められる。この橋も、小型トラックやトクトクに積んだ荷物がタイ側からミャンマー側へ流れていく量のほうが多く、タイ側の「出超」のようだ。タイ人観光客、ミャンマー人行商人、欧米系観光客に加え、タイ人僧侶の団体客も往来しているのが面白い(写真)。
18時半ごろ、夕食に出かける。外はすでに肌寒いので、早歩きで「日本の食堂」へ行く。なんと、先客のおじさん4人組が酒盛りしていた。会話を聞いていると、日本のコメの値段とか自分たちの血圧とかの話をしている。ビジネスの話は一切出ないので、引退生活者のようだ。皆、関西訛りでしゃべっている。関西人は海外に強い。
筆者は昨日見たミャンマー産の「そば焼酎」(750ml、アルコール20度、350バーツ)をまず注文。肌寒いのでストレートで飲み始める。味はよくわからないが、まずくはない。日本人のご主人に先立たれたミャンマー未亡人を多少応援する気持ちだ。
おじさん4人組が勘定をして去る前に声を掛けたら、京都から来たグループで、カンボジア、ラオス、タイを9泊で回っているということ。メーサイでは1泊500バーツの宿に泊まっているらしい。「4人の中に1人、貧乏人がいるから仕方ない」とジョークを飛ばしてくれた。頼もしいおじさん達だ。
彼らが去ったあと、ミャンマー未亡人に、たこ焼き(65バーツ)とコロッケサラダ(100バーツ)を注文。メーサイには日本人はどれくらいいるのかと聞いたら、「20人くらいはいるらしい」との答え。しかし、彼らがこのレストランにこぞって現れるということではないらしい。常連客がいないとすれば、レストランの先行きは不確実だ。「この店は日本人旅行者にとってはありがたいので、頑張ってください」と励ますぐらいしかできなかった。焼酎は3分の1足らずしか飲めなかったので、明日また来るからと言って、キープしてもらった。
19時半すぎ、レストランを出ると、トレーナーを着ていても外はとても寒い。急ぎ足でホテルへ戻った。ホテルの部屋は密封性が高く、熱いシャワーを浴びれば、しばらく半袖で過ごせる。払った値段だけのことはある。