メコンデルタほか1: ホーチミン |
8月21~30日、バンコクからホーチミンへ飛び、メコンデルタ地帯を回ってからメコン川をプノンペンへ遡った旅程について報告する。
8月21日、昼過ぎ、バンコクからベトナム航空でタンソンニャット空港に着陸。飛行時間は1時間余り。入国審査の列はほとんどなく、スムースに通過。ベトナムからの出国の航空券提示を求められたが、プノンペンへ水路で出ると説明し、プノンペンからバンコクへの片道Eチケットを見せた。税関で荷物を一通りX線検査機に通す。暇そうにしている係官に呼び止められ、「現金はいくら持ち込んでいるか」と聞かれたので「1000ドルくらいだ」と答えて財布を見せると、今度は「荷物の中に現金は入っているか」と聞かれ、「入っていない」と答えると、行けと言われた。本当は荷物の中にマネーベルトが入っていたのだが、追求されなくてよかった。CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)と比べてベトナムの国境係官は仕事熱心なのか、小銭稼ぎのために言いがかりをつける口実を探しているのかよくわからないが、あまり気を緩めてはいけないようだ。
到着ロビーを出て左手にタクシー・スタンドがあり、そこでネット予約していたホテル名(Catina Saigon)を告げ、空港スタッフがナンバープレートを記録したカードをくれ、順番待ちのタクシーに乗る。運転手はこのホテル名を知らないらしいので、一度停車してもらい、後ろの荷持からメモ帳を出し、「Dong Khoi通り109番地」だと伝えた。空港から市街まで8kmほどは渋滞もなくスムーズに走行。サイゴン川方向(東方向)に68階建てBITEXCOタワー(270m、2010年完成)が見える (写真)。(中略)持参した『歩き方』ベトナム編2010~11年版にはホテルが載っておらず、位置を運転手に説明ができなかったので探すのに苦労した。適当なところでタクシーを下車したあと、汗をかきながら試行錯誤したあと、ようやく見つけた。
Catina Saigonホテル(4つ星、1泊7700円ほど)は、ショッピング街として有名なドンコイ通りのファッション店が建ち並ぶど真ん中にあった。入り口が宝飾店になっていて、ホテルとは思えない、部屋数は50程度の新しいブティックホテルだ。
13時半ごろにチェックインを終え、2階(事実上3階)の208号室に入る。内装は新しく、スタディデスクの別区画があり、なかなか機能的。欠点は部屋の窓の外がすぐ隣のビルで、眺めがゼロというところ。廊下に出て突き当りのバルコニーに出ればドンコイ通りが見える。筆者はショッピングに興味がないので、郵便局や教会が見えるあたりがよかったのだが、まあ、サイゴン川も近いし、ベンタイン市場にも歩ける距離だし、飲み食いの便はよさそうだ。
ホテルから出て北東に歩くと、サイゴン川沿いのTon Duc Thang通りに面したメリン公園に突き当たる。そこにチャン・フン・ダオ(13世紀にモンゴルの侵攻を迎え撃った英雄)の銅像がある。しかし、高層ビルが付近に林立しているので、銅像はあまり目立たなくなってしまっている。そこからTon Doc Thang通りを横切ってサイゴン川の遊歩道を少し散策する。2年前まではこの辺りは補修工事中だったが、今は遊歩道が完成していて散歩ができる。といっても大通りの車やバイクの数がすごく、騒音が激しいので、落ち着ける雰囲気ではない。遊歩道沿いには船上レストランやクルーズ船の船着き場がある(写真)。「1時間遊覧どうだ」というような声がかかるが無視する。遊歩道側から通りの向かいの高層ビル街を眺めと、過去何回か泊まったマジェスチックホテルは健在だ。ホーチミンを最初に訪問した1998年当時はこの8階建てのビルが河岸沿いのスカイラインの中心だったが、今はすっかり低層ビルになっている。
16時ごろ、BITEXCOタワーの50階の展望レストランに入る。缶ビール1個注文しただけで税サ込み9.4万ドン(4.7ドル)とバカ高いが、市街やサイゴン川の眺めがいい(写真)。無料WiFiがあるので、ここでメール処理のあと、家族にskypeする。そこで小1時間過ごしていると、次から次へと観光客が入れ替わり、日本人の家族連れも数組いた。夏休みの家族旅行先としてホーチミンが定着している模様だ。
18時半、夕食に出かける。ホテルからほぼ正面に位置するDong Du通りを、シェラトンホテルを過ぎて北東に歩くと、200mくらいの左手に日本食屋を見つけた。結構空腹だったので迷わず入る。ところが「どらえもん かか」という名前の、ドラえもんグッズが店内狭しと飾ってあるかなりマニアックな店だった。食事は普通の日本食メニューがあったので、冷やし中華(16万ドン)、オニオンスライスサラダ(8万ドン)、タイガー生ビール(3.2万ドン)を注文。まずくはなかったと思う。
夕食後、Hai Ba Trung通り、Le Thanh Ton通りのあたりの、日本食屋が集積している界隈を散策した。バンコクほどではないが、この辺りも日本人駐在員が出入りしていそうな日本食屋が、見た感じ30~40店くらいはありそう。韓国料理屋もそれに次いで多い。欧米レストランもそこそこあり、この辺りなら食生活には困らないだろう。Le Thanh Ton通りの西側の路地にはおしゃれなカフェバーも数軒見かけた。ホーチミンの発展とともに、駐在員の生活環境も向上しているのではないだろうか。
翌8月22日、午前中はこれまで見逃してきたホーチミン作戦博物館と歴史博物館を目指す。ホテルを出てDong Khoi通りを北西へ400mほど歩く。右手に市民劇場、左手に新しいファッションビルを通り過ぎる。そこから北西方向へジグザグに1kmほど歩くと大通りのLe Duan通りに突き当たる。そこにフランス領事館があり、ビザを求める人達が列をつくっている。Le Duan通りを北東へ1ブロック歩くと、今度は右手にイギリス領事館がある。さらにまっすぐ500mほど、右手にソフィテルを見ながら歩くと、左手にホーチミン作戦博物館がある。2009年にこの博物館を訪れたときは確か昼休み(11:00~13:30)に当たって入れなかったが、今回は大丈夫だろうと思って来たのだが、昼休みでもないのに閉館していた。ローシーズンには団体客の予約でもないと、勝手に閉めるのかもしれない。仕方なく屋外の戦闘機や戦車を見るだけ。
ホーチミン作戦博物館を出て、Le Duan通りの突き当りが動・植物園の入り口で、8000ドン(ベトナム人は半額)を払い、すぐ左手に歴史博物館がある。入館料1.5万ドン。(中略)ベトナムの国土は南北に細長いので、その歴史も、中国やモンゴルを相手にしてきた北部、独自の王朝を築いた中部、さらに南部のクメール文化の影響を受けたチャンパ王国と、3つの国造りの歴史が並行して動いていたようだ。フランス支配下に入るまでに、全国にわたる国民国家は形成されないままだったようだ。11時から、歴史博物館内でwater puppet(水上人形劇)が見られるはずだったが(写真)、見物客が6人と、少なすぎるので、キャンセルされた。日本人の学生グループが10人ほど博物館に来館していたが、彼らが観劇していればキャンセルはなかっただろうに。ハノイに本格的な水上人形劇場があり、何度か入ろうと思ったが、結局見ないままだ。
11:20ごろ、博物館を切り上げてホテル方向へ戻る。Le Thanh Ton通りとその周辺には日本食レストランや居酒屋がたくさんある。「肴や」という居酒屋の向かいには漫画喫茶もある。その界隈に、以前何回か入ったことのあるSheridan’sIrish Houseという老舗のアイリッシュパブがなくなっていた。代わりに「なごみ」という日本食屋とその隣は地元カフェになっている。そのアイリッシュパブがあった角からThai Van Lung通りを左折し南東へ歩くと、両側には日本料理屋、韓国料理屋が並ぶが、この通りに新しいと思われるBernie’sというアイリッシュパブがある(写真)。夕方来ようと思う。
Thai Van Lung通りの行き止まりの手前で右折し、Thi Sach通りを左折。この通りは韓国料理屋が多い。また地元パブ “Bia Hoi”もあり、そこは昼から地元の男たちがビールを飲んでいる(写真)。その隣に、アポカリプスというディスコがある。昼間はやっていないが、夜はここが若者の軟派場所だ。(中略)
13時半にジェトロ・ホーチミン事務所でアポイントがあった。同事務所はDong Khoi通りから1ブロック南を北西から南東へ走る大通りのNguyen Hue通りに面するSun Wah Towerの14階に入っている。偶然だったがホテルからほんの3~4分で便利だった。(中略)
18時前、夕食に出かける。上述のBernie’s というアイリッシュパブに入った。照明具合といい、BGMといい、なかなかいい雰囲気。問題は、アイリッシュの生ビールがGuinessの1種類しかないこと。他に生ビールはサッポロとタイガーだけ。エールビールを飲みたかったが、仕方なく、Hofbrauというドイツの瓶ビール(500ml、12万ドン)を注文。オクトーバーフェストなどで定番のビールだと理解する。飲んでみると悪くない。食べ物はシーザーサラダ(12万ドン)とフレンチフライ(4万ドン)を注文。日本語フリーペーパーを読みながら、パブの雰囲気を楽しんだ。その記事の1つによると、筆者が宿泊しているホテルのCatinaというのはDong Khoi通りのその辺りの、フランス植民地時代の名称だったそうだ。現在は市内で最も賑やかな繁華街で地価は全国で最高水準にあるらしい。どうやら今回は銀座のど真ん中のような場所に宿泊したようだ。