東西回廊ほか5: ビンからドンホイへ |
7月27日、表通りの騒音で目が覚める。泊まったホテルが面するバス通り(写真)がヴィン市内のどのあたりに位置するのかわからず、もどかしい。『歩き方』のベトナム編にはヴィンVinhやドンハーDong Haが取り上げらておらず、この日泊まる予定のドンホイDong Hoiも1ページ程度の扱いだ。
1階のレストランで朝食。丸テーブルが多く、ビュッフェのメニューは中華風の料理が多い。バケットがあるところだけはベトナムらしい。コーヒーは出がらしでまずいが、インスタントよりはまし。
9時すぎ、ホテルをチェックアウトし、昨日着いたバスターミナルまで歩く。ターミナルの構内は、正面のバス列がハイフォン方面、向かって左がハノイ方面、右がフエ・ダナン方面と大まかに分かれている(写真)。右手の一番手前にフエ行きのバスがエンジンをかけて停車しているので(写真)、そこの車掌にドンホイで停まるかと聞いたらOKだというので乗り込む。運賃は道中で支払うことになる(20万ドン=10ドルだった)。
4月にラオカイからハノイまで乗ったバスと同じ、3列上下2段の寝台バスだ(写真)。車内には荷物を持ち込ませてくれず、ラップトップと貴重品だけ取り出し、下の収納庫に荷物を預けた。筆者に割り当てられたのは右側のシングル列の前から3番目の上段。乗客が埋まってくるまで待つが、エアコンがよく利いているので助かる。前日の山越えの小型バスは税関トラブルも含めてきつい経験だったが、この日は快適な移動が期待できる。
10時ちょうど、乗車率が7割くらいになり発車。発車まで40分ほど待ったが、昨日のイライラする100分と比べればはるかに楽だ。需要が多い路線には供給も多く、輸送業の効率がいい。
ビンからドンホイまで、ひたすら国道1号線を南東へ206km走る。(中略)約15分後、Song Lam(ラム川)という大きな川を渡って(写真)、Xuang Anの町に入り、ここから片側1車線になる。この先10kmほどはこの川が道路の右手に並行して流れる。ヴィンとその郊外はこの川でできた扇状地と思われる。稲作地帯が広がる(写真)。バスは追加乗客を拾おうとして時速30kmhほどでゆっくり走る。
11:20、ハティンHa Tinh市内に入り、片側2車線となる。ハティンは比較的大きな市で、市街中心地には信号が多い。ここで追加乗客が増え、そろそろ満席となる。ハティンを越えると交通量が少なくなり、バスのスピードが上がり、低速車両を追い越し出す。
13時過ぎ、Quang Trachの町に入ったところ(写真)で、バスが簡易食堂の前で停車し、ランチ休憩。麺とご飯ものの2種類のセットメニューがあり、筆者はご飯ものとビアハノイ缶ビールを注文し、合計で5.5万ドン。牛、豚、エビ、青物が混じった炒め物がご飯に乗っていて、おいしかった。
14:30、Bo Trachの町を通過。ホーチミンまで1,229kmという標識を見る。ハノイからはホーチミンまで1,600kmほどだろうから、ベトナムを南北縦断するのは気が遠くなる。報道によると、このルートに計画されている高速鉄道は日本が官民かけて建設輸出を進めているが、日本の新幹線並みの規格にすると建設費が莫大すぎるので、時速160~200kmに規格を落とすようベトナム側が要請しているという。
14:45、ドンホイの中心部のガソリンスタンドで一時停車。車掌にここがドンホイであることを確認して下車。ビンから正味4時間少しで着いたので、平均時速50kmh程度だった。前半は速度が遅かったが、後半にかなり飛ばした。客待ちしていたバイクタクシーをつかまえ、ネット予約していたSaigon Quang Binh Hotel(1泊80ドル)へ5分で到着(写真)。スムーズにチェックインし、実質4階にある325号室に入る。部屋の内装は新しくて機能的。窓からはホテルが面するSong Nhat Le(ニャットレ川)の入り江の眺めがいい(写真)。
夕方、降っていた雨があがり、フロントで市内の略図をもらって外出する。ホテルを出て左手(北方向)へ300mほど歩くと、入り江を半島側に渡す300mくらいの橋がある。その半島側にビーチリゾートがある。橋の歩道では釣りをする人達がいる。車道は夕涼みに出かけてきたと思われる家族連れや友達連れのバイクが頻繁に通る(写真)。入り江の半島側には漁師船が多数停泊している。漁をして帰ってくる船もいくつか見られた(写真)。
橋を渡って真っ直ぐ歩くと、その先には半島側の埠頭らしき姿が見えるのだが、すでに6時半で暗くなり、雲行きが再び怪しいので、再び橋を渡りホテルへ戻る。小1時間、入り江を歩いた限りでは、ホテルの近くにレストランや商店がまったく見当たらない。新しい道路や遊歩道ばかりで生活感がない。マーケットはおそらく離れたところにあるのだろうが、無理をせず、ホテルで夕食にする。
ホテルのレストランは広くて立派だが、エアコンがあまり利いていないのでロビー近くのラウンジで夕食。ビア・ハノイに加え、レストランからエビとタマネギの炒め物とライスを注文。合計22万ドン(約11ドル)。ソースがやや甘かったが、エビはこの辺りで獲れる天然ものか養殖なのかわからないが、小さいのがお皿に20匹くらい盛られていて大満足。
裕福そうな何組かのベトナム人家族連れがいて、彼らの3~10歳くらいの子供達が7人くらい、ロビー、ラウン、レストランと、所構わず、追いかけっこや隠れんぼで走り回っている。ホテルスタッフは咎めることもなく放置している。ベトナムも含めて他のアジア諸国も、富裕層の子供達はかなり甘やかされている印象だ。