南部回廊15: サイゴン郊外へ |
10月12日、午前はホーチミン市内でヒアリング、午後はタイニン省・省都のタイニンでアポイントがあり、片道3時間かけて出かけた。前日のモクバイ国境を通過してさらに30kmほど北東へ走る。10年以上前、観光でクチトンネルとカオダイ教総本山のセットで見学に来た。モクバイ国境を左手に通過し、そのまま北へ走る。周囲が完全に田園風景に変わる。
タイニン市からさらに45km北へ行くとサーマットの国境に至るので、見に行きたい気持ちはあったが、単独行動は許されないので、次回以降の宿題とする。ホーチミンからアンコール遺跡だけを目的地にする場合はこのサーマット国境からカンボジアに入り、国道6号線経由でシエムリアプへ行くことができる。いつか試してみたいと思う。タイニン市では午後のアポの直前に激しいスコールに見舞われ、市役所の建物の入り口を探すのに難儀した。(中略)
10月13日、8時ごろ、ホテルをスタート。9時にホーチミンから南東方向にあるロンドウック工業団地でヒアリングし、そのあとでブンタウへの途中に立地するカイメップ港を視察する。
サイゴン川沿いに中央銀行や証券取引所が並ぶ金融街を通り過ぎたところでサイゴン川を渡るトンネルに入る。日本の援助で建設されたミニ・アクアラインだ。トンネルを出ると、去る3月にもバイクタクシーで走った第2地区に入る。そこから東方向へまっすぐ、市街を南側でバイパスする「東西高速道路」に入る。片側3車線以上の広い道路の沿線は開発中の高層コンドミニアムビルが多く見られ、不動産バブル気味と見える(写真)。もともと誰も住まない湿地帯である軍用地を防衛省が民間開発業者に使用権を販売し、それを投資家が建設前から購入するというビジネスモデルが広まっているという話もあるようだ。不動産投資が確実な資産保全・拡大の手段と考える小金もち階層が投資しているという図は中国の地方都市などと共通の心理状況かもしれない。日本も平成のバブル崩壊まではそうした心理がずっと働いていただろうから、偉そうなことは言えないか。
第2区の真新しい道路を15分ほど走ると、これまた日本の援助で建設ロンタイン高速道路に入る(写真)。舗装が真新しく、路面はきわめてスムーズ。高速道路の右手に“Lake View City”という名前の大きなコンドミニアムコンプレックスのようなものを開発中。それからしばらくして右手に、サイゴン川の河川港であるカットライ港が遠くに見える(写真)。巨大なクレーンが何台も並んでいるが、最大水深は10m程度であろうから、寄港できる船舶のサイズには限界があるはず。そこで、もっと下流で海に近いカイメップ・チーバイ港が開発され、そこが混雑するサイゴン港(カットライを含む)からこぼれ出る貨物需要を満たす役割を果たしている。一方、ホーチミン圏の工業団地から近いという点ではこのカットライ港のほうがホーチミン近郊の工業団地に入居する日系企業にとっては重要な港となっている。