3都市⑫: プノンペンその3 フリースクール |
9月7日、「愛センターAi Children Center of Education」というフリースクールを学生と一緒に訪問した。 プノンペン市南西部に立地。
創設者の渡辺愛さんが10年前に日本でNPOを設立。渡辺氏はラオスに海外青年協力隊として滞在した後、建築士の資格を取得し、その後カンボジアに日本語教師として数年滞在、そのときに教えた生徒と共同で本校を創設した。
本校は公立小学校の補習校(日本なら学習塾に相当)として機能している。公立小学校は各学年の進級テストに落ちるとそのまま留年するので、補習機会を求める家庭が多いという。7:30~10:30と13:30~16:30の半日シフトで運用されている公立小学校の空いている側の時間帯に子供達に来てもらい、学習を定着させ、教育水準を向上させようとしている。教える科目はクメール語、日本語、英語、算数、家庭科、美術など。学力はインターナショナルスクールのレベルが一番高いが、お金がなくてそうしたところへ通えないが、教育熱心な家庭の子供達に無料で学習機会を提供している。日中のスタッフは4人体制。フルタイムの日本人1人のみで、あとはカンボジア人の英語、日本語、算数教師。不定期に日本人のボランティアが大学を休学するなどして訪れ、手伝ってもらっている。
在校生徒数は150~170人。年齢は6歳~14歳とバラバラ。募集は、バイク、自転車、徒歩で通学可能圏内の小学校に張り紙を出すのが基本だが、口コミで自然に生徒が集まってくることが多い。入学資格はとくにないが、面接で親子の意欲を確認し、学力レベルを確認してからクラス分けを行っている。脱落率は年に30人程度か。理由は、家庭の仕事手伝いが忙しい、家族が田舎の農村に帰る、学習意欲を失うなど。
本校から1kmほど離れた「旧」ゴミ山近くのスラム街に日曜出張講義と給食提供も行っており、そちらも見学した(写真)。「新」ゴミ山は市街の南西15kmにあるキリングフィールド(チュンエク村)の広大な土地に移動したが、この旧ゴミ山にはいまだに廃棄物を投棄する人が多く、取り壊した家屋の砕けたタイルなどが散乱していた。再利用可能なものを収集しにゴミ山にバイクで入る男性と何人かすれ違った。ゴミ山の向こうは近代的な都市の発展がうかがえ、光りと影の好対照をなしている(写真)。スラム街には欧米(キリスト教系)や中国の支援団体が簡易住居を提供したり、家屋の補修などの支援を行ったりして、数年前より生活水準はかなり向上したという。