メーソート2: 国境のタイ側散策 |
翌朝6時半ごろ目が覚める。ベッドが大きくて熟睡できた。気温が低いのでしばらくベッドのなかでメール処理や日記付けなどして過ごす。
8時半頃、ホテルをチェックアウト。IntharakhiriRoadを200mほど西へ歩くと左手にAuntie’sCoffee (B&B)があり(写真)、そこで部屋が2泊分あるかと聞くと、1泊250バーツ(約800円、B&Bといいながら朝食なし)だといい、カフェの奥2階にあるゲスト部屋3部屋のうち2部屋を見せてくれた。トイレ・シャワーは1階の共同で、部屋にはベッドだけしかないので、ベッドが2つある真ん中の部屋を選ぶ。他の宿泊施設を見てもいいが、朝食の便と立地を優先してここで手を打つ。部屋に荷物を置いてカフェで朝食。アメリカン・セット(120バーツ)とコーヒー&ミルク(45バーツ、Blackに対してミルク付きはEnglishCoffeeと呼んでいる)を注文。意外に高いが、ボリュームがあって満足。コーヒーも挽きたてでおいしい。これなら翌日と翌々日の朝食は安心だ。
9:45ごろ、同じカフェ兼ゲストハウスで自転車をレンタルして出かける。まずはメーソート市街の散策。2011年9月にも歩いて中心部をざっと見て回ったが、自転車のほうが行動範囲が広い。(中略)
11時ごろ、IntharakhiriRoadをひたすら西へ、国境方向へ走る。市外へ出て4kmほど走ると12号線の大通りと合流する地点に出る。そのすぐ先の左手に、昨日バスで到着したターミナルがある。
バスターミナルを過ぎ、12号線を500mほど西へ走ると左手にメーソート空港がある(写真)。ここを利用しているのはNok Airのみ。たまたま筆者が入ったときは飛行機が着陸したばかりでターミナルに近づくところだった(写真)。空港ターミナルに入り、Nok Airの窓口を見ると、この空港からバンコクに1日5便と、チェンマイ、ヤンゴン、モーラミャインの3都市へ1日1便を運行している。小さな町の空港にしてはたいしたものだ。バンコクへ飛行機へ戻ろうかとも思い、価格を聞くと3000バーツ前後とバスの7倍もする。前日のバスはそんなにきつくはなかったので、帰りもやはりバスにする。
空港からさらに12号線を西へ自転車を漕ぐ。国境ゲートに至るまでに、左手に、TemporaryPass Office(タイ人に対して一時パスを発行する事務所)、WildlifeCheckpoint Maesot(ワシントン条約で貿易が禁止されている動物に関するオフィス)、メーソート税関事務所を過ぎる。
11:45ごろ、メーソートの国境ゲートに到着。双方向に通関待ちの車両が列を少し作っている(写真)。ミャンマー側に渡るのは翌日に譲り、この日はタイ側の国境周辺を見て回る。
モエイ川沿いに、やや狭いが舗装された遊歩道が整備されており、そこを自転車を押して歩く。国境橋の中間あたりが見える地点に来ると、乾季で川の水位が相当低くなっているのがよくわかる(写真)。
橋の中心部の向かいから、遊歩道を上流に100mほど歩くとボート(10~15人乗り)の船着き場がある。ほぼその向かいにはミャンマー側の渡し場があり、ほんの30mほどの距離を乗客を乗せたボートが頻繁に往来している(写真)。さらに遊歩道が切れるところまで200mほど上流へ歩くと、少なくともあと2か所は対岸とのボートが往来できる箇所を確認した。ミャンマー側からタイ側へ上陸するミャンマー人達の多くは重そうな荷物を抱えているので、少額貿易に従事していると思われる(写真)。
こんなに国境橋の近くの船着き場(上流・下流とも)で堂々とボートで往来しているので、彼らは国境橋を渡るのに必要な一時パスを持たなくても問題のない範囲で行動しているということだと推測する。両国の当局としても、モエイ川沿いすべてを管理できないので、自発的に起こっているボート貿易は一度に運べる物資の量が限られていることだし、黙認せざるを得ないというところなのかもしれない。
遊歩道が切れた箇所でひき返し、今度は遊歩道を下流方向へ歩く。橋のふもとには屋根付きの大きなマーケットがある(写真)。
ここは前回2011年9月に中を歩いたので今回はその外側の川沿いを歩く。すると、遊歩道の一部が対岸からボートで物資を運んでくるミャンマー人達の路上マーケットになっている(写真)。川底が陸になっている部分にはスクワット(不法住みつき)していると思われるミャンマー人の小さな集落ができている(写真)。ボートによる対岸との往来もノーチェック状態だ(写真)。すぐ近くにタイの軍人が見張っているくらいだから、この集落の存在も何らかのインフォーマルなアレンジによって黙認されているのだろうか。
13時半ごろ、モエイ川近くの向かって左手の橋のたもとにある「夏鵬財飯店」という中華系の食堂でランチ。えびチャーハン(30バーツ)とシンハービール大瓶(80バーツ)を注文。橋の上の往来を観察していると、午前よりも午後の方が往来が激しい印象。また、橋の上だけでなく、食堂の目の前を両方向に通り過ぎる人達(大半がミャンマー人のよう)も多い。ボートを利用して対岸と往来しているようだ。
14時半ごろ、食堂を出てタイ側のモエイ川付近をもう一回りする。川の上流のボートが付けられるあたりの空地に簡易住宅を建てて「ミャンマー村」と化した地帯がある(写真)。その付近でミャンマー人を雇っていると思われる縫製工場を4~5棟見た。
15:10ごろ、国境地帯の視察を切り上げ、メーソート市街方向を目指す。国境ゲート手前の中央分離帯にあたるスペースに露店が連なって出ている。夕方には露店市場になるようだ。チェンライ県のメーサイでも夕方に同様の風景を見た。
メーソート市街へ戻る途中、国境ゲートから2kmほどの地点の交差点で、左(北方向)からたくさんトラックが流れてきているので、そっちに新しい国境橋ができているのかと思い、そちらへ1kmほど寄り道した。途中から登り坂になり、その先にチェックポイントとアーチがあったので、そこにいた警官に、「その先はミャンマーか」と英語で聞いたが、「ワット(寺)何々」と答えるだけで、その先が国境なのかどうか確認できなかった。ジェトロ情報によると、現在の国境橋から約5km北に第2友好橋建設に向けてタイの支援のもと事業化調査が行われており、2016年頃の完成を予定しているらしいので、第2国境橋はこちらの方向にあるのは間違いないのだが、さらに先へ行くと自転車では引き返すのが大変そうなので、追求するのは諦めた。
16:20ごろ、Auntie’sCoffeeに戻る。総距離20kmほど自転車を漕いだろうか、かなりお尻が痛い。
一度部屋に戻ってラップトップを持ち出す。IntharakhiriRoadを200mほど西へ歩き、Bai Fernというレストランに入る。「バイ ファラン」(フランス人による店)という意味かもしれない。スタッフは全員タイ人だが、店の奥に白人男性を見た。ここは前回も来て夕食を食べた。結局そのレストランで4時間ほど粘ったか。その間、タイ人、欧米人、韓国人など多様な客が出入りして、19時ごろはテーブルが満杯近くなるほどだった。かなりの人気店だ。
20時半ごろ、肌寒くなったのでAuntie’sに戻る。ところが玄関はシャッターが閉まっている。ノックしてみたが反応はない。そういえば朝もらったキーチェーンに、部屋の鍵のほかに、もう1つ小さい鍵が付いていたのを思い出した。その鍵で勝手口についている錠を開けられた。シャワー室で今日はきちんとお湯が出てさっぱりした。部屋にまったくアメニティはないものの、こういう宿泊もアットホームで悪くない。
…と思ったら、甘かった。部屋の窓を閉め切っていても翌朝は部屋が非常に冷え込んだ。供給されたタオルケット1枚だけではとても無理だった。夜寝るときは大丈夫かと思ったが全然だめだった。早朝4時ごろ目が覚め、ベッドカバーをタオルケットの上にかけたがほとんど効果なし。体温が逃げて行く。うとうと状態のままよく眠れない。5時半には外が白み始めて完全に目が覚めたが、眠ることも起きることもできず体を丸めて過ごした。6時半にトイレに行き、少しパソコンをいじろうとしたが、寒くてやめる。1階のカフェがオープンする7時まではベッドにくるまっておとなしくする。