雲南省国境地帯10: ルアンナムタからムアンシンへ |
11月20日、8時前に目が覚める。シャワーなしでもなんとか眠れた。この日も朝から雨が降っている。乾期なのに珍しい。再び隣のゲストハウスで朝食後、10時ごろ、ようやく雨があがったようなのでチェックアウト。メインストリートを南へ300mほど歩くと左手(東側)に小ぢんまりしたバスターミナルがある(写真)。ここは近距離専用で、運行車両はすべてミニバス。駐車場は未舗装で、雨のおかげで地面がぬかるんでいる。ターミナル付近には多少娯楽施設がある。ビリヤード場は地元の男性で結構賑わっている(写真)。
チケット売り場の窓口ではムアンシンMuang Sin、ナラエNalae、ボーテンBoten、ヴィエンプカViengphukaの4ルートを扱っている。それぞれ2時間圏内だと思う。ムアンシン行きは9:30始発で、90分間隔で運行している。11時発のチケットを2.5万キープ(約3ドル)で購入。待合スペースには欧米系バックパッカーが10人ほどと、ラオス人客が数人。ムアンシンはルアンナムタの北60kmほどにある小さな町で、周囲に山岳少数民族の村が多く、トレッキングやエコツアーなどで昔からバックパッカーに人気がある。、
10:40ごろ、ドライバーの合図で乗客がミニバス(12人乗りほど)に乗り込み始める。乗客の6割はフランス人のよう。筆者の横と前にはフランス人夫婦と小さい子供2人の家族が座った。
11時前、定刻を待たずに発車。ルアンナムタ中心部を北方向へ1kmほど走り、市外に出てすぐのガソリンスタンドで2分間ほど給油停車。そこから右手にター川(ナムター)を見ながら山道の国道17A号線に入る。道路は傷みが激しく、あちこちに陥没した穴ができていて(写真)、ミニバスはそのたびにスローダウンしてよけて走る。傷みが激しいのはトラックなど重量車両が過積載で走っているからだろう。また、幹線道路でないからメインテナンスの優先順位が低いのかもしれない。道幅も狭いので、すれ違いは注意が必要。雨で斜面側の土砂が川側へ流れだしている箇所もある(写真)。ただし、交通量が少ないのは救い。道程の前半は登り道、後半が下り道となり、カーブが多い。沿線には自然林rainforestも残っているが、だんだんゴム植林が侵食しているような景色(写真)。少数民族の人達が背中に薪をいれた籠を背負って歩く姿が目立つ。
12:40ごろ、ムアンシンのバスターミナルに到着(写真)。終始道路状況が悪く、平均時速は34kmhほどだった。バスターミナルの駐車場は未舗装で、前日から雨が降ったため地面がぬかるんでいる(写真)。
切符売場の窓口を見ると、ここからはルアンナムタ行き(60km)、ムアンロンMuang Long行き(50km)(メコン川に面するシェンコックへの中間点)、ムアンマンMuang Mang(東方向の中国領内)行き(30km)、ムアンラーMuang La(同中国領内)行き(70km)と4ルートを運行している。最後のMuang Laというのが先日筆者がバスで通った勐腊のことだ。ラオ語(タイ語も同じか?)でムアンMuangというのは「郡」を表し、これは日本の郡の感覚に近い大きさの行政単位で、「ムアンXX」というのはXX郡だと思えばよい。Banというのが「村」で、「バーンXX」というのはXX村のことだ。雲南省南部の地名で勐や孟という文字で始まる町はもともとラオ語(タイ語)をしゃべる民族が住んでいた町で、そこに漢民族が浸透して漢字社会に変容したということだろう。
ムアンシンのゲストハウスが集積しているメインストリートはバスターミナルから1kmほど離れているのでそちらへ歩く。
バスターミナルの正面には(新)市場があり(写真)、ここで朝市が開かれる。市場の入り口には中国語とラオ語で大きな警告看板があり、完全には理解できないが、ラオス国家銀行が発したもので、大きな文字の部分は「ラオス領内においてはラオスの通過であるキープを使用すること」と書いてあり、商店に対しては、密輸品の販売や通貨の両替を禁じるといった内容のようだ(写真)。バスターミナル沿いの道路にはChineseSupermarketsという看板のスーパーやKolao(韓国資本の現地合弁)のオートバイ販売店などがある(写真)。旧市場があったメインストリートよりも、こちらのバスターミナルが面する通りのほうが、これから地元経済の中心になっていくのだろうと想像する。
メインストリートで何軒かゲストハウスを見たが、翌日以降の移動の便を考えるとバスターミナルからあまり離れたくないので、比較的北側にあるTaiLu Guesthouseというところで手を打った。フロントの若いご主人とおばあさん(親子だと思う)はどちらもまあまあ英語ができる。2階の部屋はあばら家っぽく(写真)、トイレ(中国式)・シャワーもみすぼらしいが、1階のレストランはまあまあ快適そう(写真)。ホットシャワーはソーラーパネルによる発電で、お湯の量はその日の太陽光の強さ次第だという。WiFiは町全体にないという説明。1泊4万キープ(約5ドル)とさすがに安い。