メコンデルタほか9: チャウドックからティンビエン国境へ往復 |
8月28日、華僑系食堂での昼食後、その前で客待ちしていたバイクタクシーの青年に声を掛けられ、英語が比較的達者なので、午後の半日ツアーを相談した。チャウドック市街から南西に約25kmに位置するTinh Bien国境往復と、その途中の観光ポイント数か所を回るツアーを30万ドン(約15ドル)で合意。
ヘルメットをかぶって彼のバイクの後ろに乗り(6月、カンボジアのラタナキリ州でのバイクタクシーは往復140kmをヘルメットなしで乗ったが、ベトナムのほうが交通量は圧倒的に多いので、ヘルメットは重要だ)、チャウドック市場から南西へ延びる幹線道路を走る。郊外の途中までは中央分離帯付きの片側1車線で、その後は中央分離帯なしとなる。バイク青年の話によれば、このあたりの郊外は以前は田んぼだったが、近年は富裕層がやってきて道路沿いの土地を買い漁り、ホテル、カラオケ、ディスコなどに投資しているらしい。確かに沿線では整地済みで開発中の土地や、新しいホテルなどが見える(写真)。(中略)
14時前、Tinh Bienの郊外5km地点に入るが、ここから2kmほど、未舗装の砂利道。四輪車なら問題なさそうだが、二輪車は砂利で転倒する危険がありそう。無事砂利道を抜け、Tinh Bienの町の中心(右手)と国境ゲート(左手)の分岐点を過ぎ、次に軍の駐留区域を過ぎる(写真)。ここから国境ゲートまで約2km。
国境ゲートまであと1kmほどの地点に、2年前に完成したという、国境運河を渡す橋を通過(写真)。この橋ができる前は、このルートは運河をフェリーで渡らなければならず、不便だったが、今はこの橋のおかげで、チャウドックからこの陸路ルートを越境バスでプノンペンまで3時間だという。一方、筆者が計画している水運ルートはプノンペンまで5時間らしいから、急ぐ場合はTien Bien経由の陸路のほうが便利だとのこと。
国境ゲート手前の拡幅工事中のもう1つの橋を渡る。その手前にTien BienTrade Zoneという区域があり、そのなかに免税スーパーが入っている(写真)。見た限り、このゾーンは完成して間もないようで、人影はない。
14:05、簡素な国境ゲートに到着(写真)。イミグレ施設らしきものは見えず、ここ数年で整備された国境のようだ。写真を撮ろうとすると、国境ゲートに詰めている若い係官が撮影禁止だというジェスチャー。またか。それでも努めて親しく話しかけると、このゲートの向こう約150mにカンボジアの国境ゲートがあるとまでは教えてくれた。
10分ほどゲートで観察すると、ベトナム側から荷物満載のバイクや貨物トラックがカンボジア方向へ通過する(写真)。予想した通り、ハーティエン国境よりも、プノンペンに直行する2号線との国境のこちらのほうが交通量が多い。さきほど見た2年前にできた国境近くの運河を渡す橋が物流を盛んにさせている決定的要因だと思う。
Tinh Bienの町へ引き返し、運河を渡り、ティンビエン市場を視察する。屋根付きのなかなか大きなマーケットだ(写真)。周囲の路上にも、野菜、果物、花など屋台が出ている。屋内の商店を見ると、玩具や雑貨は中国製品が大半だが、シャンプーや洗剤などの日用品はタイ製品だ。
15時ごろ、ティンビエン市場を出発。バイク青年は気を利かせてくれ、行きの幹線道路とは異なる、カンボジアとの国境をなす運河沿いを北東へ走る(写真)。縦横に走る大小の運河は、メコンデルタの水量の多さを実感させる。運河とその向こうの冠水したカンボジア領の稲作地帯の区切りがわからない(写真)。運河沿いに魚の養殖場が見える。チャウドックから南西方向にハーティエンまで伸びる運河は、110kmもあるという。これだけ長く、雨期に仕切りがはっきりしない国境線なら密出入国も密輸も簡単そうだ。(中略)
16時すぎ、サム山Nui Samへ登る。『歩き方』によると、「チャウドックから南西約6km地点にある。高さ230m。多くの伝説が残される神聖な山…」だという。登り道を10分ほどで頂上まで一気にのぼったが、舗装はひどく傷んでいてガタガタだ(写真)。頂上の展望台からは眼下の景色が素晴らしい。チャウドック市街へ伸びる幹線道路や、カンボジアとの国境をなす田園地帯が見える(写真)。サム山から下りてきたところで小学校を通り過ぎると、ちょうど下校時間で、親たちがバイクや自転車で迎えに来ている(写真)。親の出迎えがない子供は地力で下校している(写真)。(中略)
17時前、ホテルに戻る。バイク青年との別れ際、翌日の予定も相談する。翌日はチャウドックからハウジャン(後江)を東へ渡り、ティエンジャン(前江)に面するTan Chanの町と、その北にあるビンスオンVinh Xuongの国境(合計60 kmほど)を見たい。バイク青年は、その往復の間にフェリーに4回乗る必要があるらしいから、その手数料も含めて40万ドンでどうかと聞く。彼の熱心なガイドぶりに満足していたのでOKする。この日の30万ドンと翌日の40万ドンと合わせて、最後に支払うことにした。
ホテルで17~19時のハッピーアワーにドリンクがすべて半額になるとチェックインのときに聞いていたので、呑み助は簡単に引っかかり、ラップトップを持って1階のプール際のバルコニーへ行く。地元のボートレースのチームだろうか、2艘のボートが掛け声とともに目の前を過ぎて行く。8人乗りのボート競技の練習のようだ。ハウジャンのこのあたりは波が穏やかでボート競技に向いているのだろうか。(後略)