メコンデルタほか3: カントーの水上マーケット |
翌8月24日5:20、目覚ましで起床。ロビーに降りると玄関にはThuyおばさんがしっかり待っていた。まあ、1日に40ドルも稼げる対象を逃すはずはない。彼女の後について、ボートの船着き場まで歩く。外はまだ薄暗く、筆者と同様に早朝から水上マーケットに向かう客が数組いた。
カントー川に架かる橋を3つほどくぐると、カイラン水上マーケットに到着。市街から南へ7kmほどの地点。中型船と小型船が入り乱れて生鮮食品を売買している(写真)。途中でThuyおばさんからモンキーバナナ1束とバケット1個の入った朝食セットを渡される。「朝食付き」というのはこの簡素なスナックセットのことか。
7時ごろ、カントー川から右手(西側)の運河にそれ、カフェのある場所に上陸して休憩(写真)。ここでベトナム式の練乳入りコーヒーをもらう。店にいた馴れ馴れしい子犬が食べ物をねだってきて、膝から下をさんざん舐められた。おばさんに近くの米粉麺工房へ案内される。コメを沸騰させた白い溶液を鉄板の上に円上に広げて焼く。焼けたあとはしばらく乾燥させる(写真)。その後、細かく麺状に刻むローラー機械にかける。できあがった米粉麺を1袋5kgに揃え、水上マーケットへ売りに出す、といった工程のようだ。
その後、カントー川に戻り、さらに南西へ下る。途中、最近の洪水で半分川につかって傾いた家屋を見る(写真)。
8時ごろ、市街から17km地点のフォンディエン水上マーケットに到着。生鮮食料品を売る小舟と、筆者のような観光客の小舟が入り乱れている(写真)。エンジンのついてない小舟は2本の櫂をクロスさせて漕ぐ(写真)。結構年輩のおばあさん達も器用に櫂を操っている。Thuyおばさんも、着岸したり水上マーケットの混雑のなかを航行したりするときはエンジンを止めてこのクロス櫂を器用に漕ぐ。
フォンディエン・マーケットで30分ほど停泊したあと、カントー川の上流へ戻り、途中で左折し、小運河をくねくねと行く(写真)。家族漁、洗濯、炊事の洗い物、沐浴など、川の恵みを生かした生活風景が見られて面白い(写真)。Thuyおばさんが2回ほど筆者を川岸で降ろして川のほとりの田舎道を100~200mほど散歩させる。他の観光客も同様の「サービス」を受けているようだ。稲作地帯に部分的にパパイヤやバナナのプランテーションがある。農作物が豊かそう。
10時ごろ、小運河の途中に、Homestayという看板のある、簡易宿泊兼軽食が出る休憩場所に着く。そこで卵焼きとバケットのブランチをとる。おばさんもお腹が空いたといってフォーを食べていいかというので、OKする。もちろん客である筆者のおごり。おまけにアイスコーヒーまで頼んでいた。合計約10万ドン(約5ドル)。大した値段ではないが、こういうお仕着せの有料休憩所が用意されていたことに少しがっかり。
10:45ごろ、一路帰途へ。日が差してきたので屋根を出してもらう。小運河からカントー川へ出て、カイラン水上マーケットをもう一度過ぎる。12:15ごろ、今朝出発した船着き場に戻る。朝とくらべて、水位がかなり下がっていた。
水上マーケットツアーはだいたい『歩き方』にある記述の通りだったが、マーケットに出ていた船の数は、想像していた(川が埋まるほどびっしり)ほどではなかった。カントー川を渡す橋が充実してきたので、だんだん船による交易の必然性が薄れてきて、いずれ水上マーケットは廃れていくのではないかと想像する(のちほどNHK Worldでそうした趣旨の特集番組を見たが、代々舟を利用した生業の家族は、その若い世代が観光ボート業に転じつつあるらしい。)。むしろ、横道の小運河に逸れて北上した2時間くらいが、運河沿いの生活感があふれていて面白かった。
ボートツアーを終え、河岸沿いの遊歩道を北へ歩く。フェリーの船着き場を過ぎ、ホーチミン像を過ぎ、川に停泊している船上レストランに入る。まだ準備中だったが、かまわず船の3階デッキまで登ると、右手(東側)にカントー大橋の遠景が見える。橋がかなりエビそり状なっているのがよくわかる(写真)。
河岸沿いのカントー市場内にあるSao Homという小奇麗なレストランでランチ。カントー川に向かってテラス席が並んでいて、眺めがいい。筆者と前後して、数組の家族連れ観光客が入ってきた。
14時ごろ、ホテルに戻り仮眠をとる。15~17時ごろ雨が降った。午前中のボートツアーで降らなくてラッキーだった。
20時ごろ、遅い夕食に出かける。雨上がりで風も吹いていて涼しい。前の晩入ったMekongレストランにまた行く。人気があるようで、ほぼ満席だが、1つだけテーブルが空いていて何とか座れた。パイン・セオというベトナム式お好み焼きのエビ入り(7.5万ドン)とビア・サイゴン赤ラベル(1.2万ドン)。お好み焼きの中にはニラや芋がたっぷり入っていて栄養バランスがいい。薬味にミントやキャベツの葉もついてきて、たくさん野菜を食べられた。