東西回廊ほか12: ナコンパノムから第3メコン国際橋を渡ってタケークへ |
翌8月1日、7時前に起床。朝食に出かける。前日少し歩きかかったメコン川沿いのSunthorn Wichit通りをひたすら南へ歩く。「ベトナム時計台」を過ぎ、まず船着き場を見学。規模はサワナケートの船着き場と同じくらいでこぢんまりしている(写真)。ただし、8:00からほぼ30分おきに1日10本ほど対岸のタケークへ出航しているようだ。11:00か11:30のボートでタケークへ渡り、その帰りは第3メコン国際橋を国際バスでナコンパノムへ戻るつもりだ。
船着き場から南へ500mほどは遊歩道があり、ムクダハンの遊歩道よりも広い(写真)。健康遊具も設置されている。夕方には人がたくさん出てくるのだろうが、今朝は雨模様で、ほとんど人がいない。メコン川沿いをずっと歩いて朝食ができる店を探すが、なかなか見当たらない。1kmほど歩いたところで雨が降り出したので、早足で歩いていると、幸い、右手に食堂を見つけて入る。英語メニューがあった。朝食メニューはないので、空腹だったこともあり、豚肉ラープともち米ご飯(ラオスからの輸入だろう)を注文。65バーツ。唐辛子の皿を手に、どのくらいの辛さにするかと聞くので、「ニット・ノイ(少し)」と答えた。食べているうちに雨があがり、日が差してきた。辛いラープを食べているので汗が出てきた。
9時過ぎ、食堂を出て100mほど南へ歩くとワット・マハータートWat Mahathatがある。仏塔がラオス様式で、前日タートパノムで見た仏塔を小型にした感じ(写真)。境内は静かで観光客はゼロだが、道路沿いに案内板があるので観光スポットの1つだ。
9時半ごろ、近くに待機していたトクトクをつかまえ、第3メコン友好橋まで往復を頼む。300バーツ(約1000円)というが、かなりの距離があるのでOKする。Sunthorn Wichit通りをまっすぐ北へ3kmほど走ってから左折し、212号線にあたり、右折して北上。しばらくして「Friendship Bridge III(第3メコン友好橋)まで6km」という標識あり。212号線は舗装状況がきわめて良好。15分ほどで橋のたもとに到着。向こう岸がノンカイの第1メコン友好橋よりも近く見える(写真)。のちほど調べると、川幅約780mの地点に架かるこの橋はアプローチ部分を含む全長が1,423mで、アプローチ部分が長い。橋のたもとはとても静か。小さい猟師舟が数艘ある程度(写真)。
運転手に国境ゲートのほうへ移動してもらう。ゲート近くは広大な空き地で、まだ開発途上。バス用、トラック用、乗用車用と車両の通過レーンが分かれている(写真)。トラック用レーンの手前には10~15台のコンテナトレーラーが通関待ちの待機をしている(写真)。ムクダハンではラオス側から燃料タンクのトレーラーが20台くらいタイに入っていくのを見たが、こちらはタイ側からのトラックが多い。ゲート出口には交通機関はまったくなさそうなので、翌日タケークから戻る国際バスでは乗り遅れないようにしないといけない。
橋の見学を30分ほどで切り上げて市内へ戻る。友好橋からすぐの212号線の中央分離帯には、2015年ASEAN経済共同体(AEC)をアピールするために10か国の国旗が掲げられている。
10時半、ホテルに戻る。11:15、チェックアウト。翌日戻ると伝え、荷物を引きながら船着き場まで急いで歩く。11:30発のボートに乗りたかった。船着き場に着くと、朝とはうって変わって忙しい様子。トラックから次々と段ボールが停泊中のボートへ担ぎ込まれる(写真)。段ボールにはすべてHaier(中国大手家電メーカー)のロゴがついている。サイズは大きいが1人で担げるということは扇風機か。ラオス向けのボート貿易だ。
チケット売り場のおばさんに「one person」と言うと、「no boat」という返事が返ってきたので、一瞬パニック。それ以上は英語が通じない。困惑してウロウロしていると、親切なおじさんが筆者の手をひいて出国窓口まで連れて行き、英語ができる係官に説明してもらう。係官のおじさんからは「Only Thai-Lao, Go to the bridge」というわかりやすい説明。そうか、ボートでの越境は対岸の国籍者のみに限られ、第三国人の越境はすべて第3メコン友好橋にまわすという規則になっているのだ。なるほど、地元住民のニーズと外国人渡航者のニーズを分けたほうが、効率がいいのだろう。ということは、南北回廊沿いのチェンコン・フエイサイ国境についても第4メコン国際橋が開通すれば(2013年12月11日に開通した)、外国人はあの情緒ある小型の渡し船には乗れなくなるのだろう(のちにその通りになったことを現地で確認した)。
ともあれ、ナコンパノムのバスターミナルから国際バスに乗らなければならない。船着き場で客待ちをしているトクトクを拾う。他にタイ人3人が同乗。2人は途中の市街で降りたが、もう1人と筆者はバスターミナルまで行く。
11:40、バスターミナル着。地方都市らしい、こぢんまりしたターミナル。窓口で「Thakek?」と聞きまわり、国際バス専用の窓口にたどりつく。パスポート提示を求められ、70バーツでチケットを購入。発車時間を聞いたら、筆談で「1番乗り場、1300h」と書いてくれた。13時発なので1時間以上待つことになった。ナコンパノム・タケーク間の国際バスは8:00~5:00の間にほぼ90分おきに8便運行している。さきほどトクトクで見学してきた橋へ今度はバスで向かうという重複になってしまったが仕方ない。橋のたもとを見られたのでよしとする。日中気温が上がり、汗をかきながら、待合ベンチで待つ。12時過ぎ、1番乗り場に “Thai-Lao International Bus Nakohn Phanom-Tahkek”と書いた国際バスが乗り入れてきた(写真)。ほぼ定刻通り発車。
ベンツ製のバスは内装がきれいでかなり新しい(写真)。乗客は筆者を含めて8人だけ。こではガソリン代も出ないのではないか。前から2列目の右側の窓際の席に、荷物と一緒に座る。
バスはナコンパノムの市街をバイパスする道路を北東へ進み、さきほどトクトクで通った212号へ合流する。
13:20ごろ、ナコンパノムの国境ゲート到着。出国審査は3レーンあるが、渡航者が少ないためか、係員が唯一詰めている右端のレーンに全員並ぶ(写真)。ここのイミグレ施設は新しくて立派なわりに閑散としている印象(写真)。出国検査はスムーズに終了。すぐあとに出国のX検査もある。車掌が事前に荷物を持って降りろとジェスチャーしていた理由がわかった。ノンカイの第1メコン国際橋では出国のX検査はなかった。
乗客の1人の出国審査に時間がかかり、約25分後、中立地帯から再発車。あっという間にメコン川を渡る。推測だが、タイ政府が橋の建設費用を節約するために、なるべく川幅が狭いところを選んだ結果、ナコンパノムおよびタケークの市街からそれぞれ北に10km以上離れた地点が選ばれたのだろう。
メコン川を渡り、ラオス側のイミグレ施設への途中で、タイの左側通行から、ラオスの右側通行へとクロスする(写真)。第1メコン友好橋でもラオス側でクロス、一方、第2と第4はタイ側でクロス、という風に、クロス部分を両国交替で担当している。あっという間にラオス側のイミグレゲートに到着。ちょうどラオスからタイへ向かう国際バスと重なったが、向こうには乗客がかなり乗っていた。入国審査もスムーズに終了。審査ブースが2つあるが、渡航者が少ないので、左側のみ開いている(写真)。ラオス入国にはX線検査なし。高価な機械を据える資金がないのか、今のところ陸路の国境でラオス側にX線装置を見たことがない。