モーラミャインからヤンゴンへ |
3月30日、朝食はホテルでアメリカンを食べ、午前中はこの旅日記を整理する作業や疲労回復のため、ホテルで休憩した。昼過ぎ、ホテルから2ブロックほど南へ歩くと、Easy Tiger Beer & Restaurantという看板の、筆者におあつらえ向きのレストランを見つけ、そこでランチ。地元の男連中が昼からビールを飲んでいたので(写真)、それに倣い、筆者もタイガー・ビールとあんかけ魚料理を注文した(値段は失念)。彼らにバイクタクシー運転手を紹介してもらい、『歩き方』(以下、本ブログでは『地球の』を省略する)に紹介されている、モーラミャインから南方向へ24kmほどにあるWin Sen Tawyaという巨大な寝釈迦を見に行く。運賃は往復で6000チャット。
ちなみに、紙媒体の1人旅ガイドとしてはLonely Planetのほうが情報量豊富で優れていると思うが、写真や地図では『歩き方』が勝っている。とくに言葉のコミュニケーションが不安な場面で移動の足を確保するには、目的地の写真を指差すのが効果的だ。
モーラミャインから南へ向かう幹線道路は道幅が片道2~3車線ほど広い箇所がほとんどで、舗装状態も良く、道路の左右には国軍の部隊ごとに名前がついた駐屯地が多数見られる(写真)。バゴー・モーラミャイン間の狭い道路に比べて、かなり資金を投入して整備している様子。
目的地に着くと、確かにバカでかい寝釈迦だ(写真)。全長183m, 高さ28mで、30年がかりでいまだに建設中だ(写真)。写真では全景を撮ろうとすると大きさが伝わりにくく、近くで撮ろうとすると全体がとてもファインダーに収まらない。仏像の枕の部分から入ると4階建てほどの高さで、らせん階段がいくつかあり、仏陀にまつわる様々なストーリーや地獄図絵を石像で綴った展示がある。地獄図絵のほうはかなりグロテスクだ。筆者が訪問した時は外国人観光客を全くみかけず、ミャンマー人を数組見ただけ。それにしてもこの巨大な建造物はいつになったら完成することやら。
その夕方はヤンゴン行き8時発のバスに乗るまでの時間は、ホテル周辺を散策し、市民が夕方にくつろぐ姿を眺めて過ごした。路地裏では男性グループが伝統蹴鞠「チンロン」に興じている(写真)。
バスターミナル売店でマンダレー・ラム(250ml瓶、3000チャット、まずい)とスナックを購入してバスに乗り込んだが、チビチビと晩酌したもののあまり眠れなかった。真っ暗だったので外の様子がほとんどわからないままだったが、タートンとバゴーの間は道路幅が狭く、追い越しには注意を要する印象だった。
翌3月31日3:40、予想以上に早くヤンゴンのアウンミンガラー・バスセンターに到着した。こんな時間帯でも、客待ちタクシー運転手が何人かいた。しかし、売り手市場なのでこちらには交渉力がなく、相手の言い値で確か8ドルほどを払って、セドナ・ホテル(バンコクで予約していた)へ着いた。あまりに早朝すぎて、高級ホテルといえど同日の宿泊予約でチェックインさせてもらえず、8時まで待ってくれと言われた。日本なら午後2時まで待たされるであろうから、こちらはまあ寛大である。ロビー階にあるカフェの外に出ているテーブルに腰を掛け、旅日記を整理しながら時間をつぶした。
約束通り8時ごろチェックインでき、最後の2泊は快適な宿泊だった。1日半ヤンゴン市内を徒歩とタクシーで回った。鉄道環状線の北部にあるTadalay駅周辺にある寺院を3件ほど見るついでに線路沿いを歩くと、柵もないのでどんどん入って行ける。予想通り、スクワッター住居が見られる(写真)。「激写」していたら、コミュニティのリーダーらしき男性に「何だ、お前は」と詰め寄られ、慌てて退散した。また、線路の木製の枕木が朽ち果てているのであろう、コンクリート製の枕木に入れ替える作業をやっていた(写真)。人が汗をかいて作業しているところを撮影しているよそ者はさぞや鬱陶しかっただろう。
一方、ホテルが面するKabar Aye Pagoda通りをずっと歩くと、高級コンドミニアム(写真)やハイ・エンドのショッピングセンター(写真)がある。
ミャンマーの両替事情: 今回の滞在中に、いろんな場所で米ドルをチャットへ両替したが、ホテルを除けばだいたい800チャット/$前後で大きな違いはなかった(その後900チャットへと減価していった)。数年前までは外国人用の公式レートの6チャット/$と自由市場(闇)レートの間に10~100倍の開きがある多重為替相場の問題があったが、今では市場レートが全国でほぼ同じ水準に落ち着いているので、両替で苦労することはない。ただし、銀行での両替は列に並んで待ったり、パスポート提示を求められたりして面倒だ。各地のマーケット周辺で「money change?」と聞きまわれば、一般商店や旅行店が副業で両替をやっているところを教えてくれるので、交換レートの明細書などが必要でなければそちらのほうが便利だ。ミャンマーの金融決済システムは非常に未発達なため、基本的にすべて現金で支払いをしなければならない。旅行店やホテルでの大きな支払は米ドルで済むが、そのほかの一般の支払いはチャットだ。日本円はまず通用しない。旅行者として不便なのは、どの両替所も、ピン札のドル紙幣でないと受け付けてくれないことだ。日本を発つ前に、銀行で米ドルのピン札のパッケージを買っておくのがよいと思う。